【巡る、整える①】女性ホルモンの科学。エストロゲンとプロゲステロンを知る

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「生理前になると決まって気分が落ち込む」
「肌の調子が月によって全然違う」
「疲れやすい時期とそうでない時期がある気がする」
「なんとなく不調なのに、原因がわからない」

こういった経験、思い当たることはありませんか?

これらの多くは、女性ホルモンの周期的な変化が深く関わっています。でも「ホルモンのせいだから仕方ない」と諦めてしまうのは、少しもったいない。ホルモンの仕組みを知ることで、自分の体の波に寄り添い、上手に整えることができるようになります。

このシリーズでは「女性ホルモンとサイクルケア」をテーマに、科学的な視点から自分の体を知り、毎日を心地よく整えるためのヒントをお届けします。第1回は、女性ホルモンの基本中の基本から一緒に学んでいきましょう🌸


女性ホルモンとは何か

女性ホルモンとは、主に卵巣から分泌される「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類のホルモンのことです。

ホルモンとは、体内で作られて血液に乗り全身へ届き、さまざまな臓器や細胞に指令を送る「化学的なメッセージ物質」です。女性ホルモンは量はごくわずかながら、全身の細胞に影響を与えるため、その変化が心と体のあらゆる部分に波及します。


エストロゲン——「女性らしさ」を育むホルモン

エストロゲンの基本的な働き

エストロゲンは、思春期から分泌が増え始め、女性の体を成熟させる役割を担います。「女性らしい体つき」「肌のうるおい」「髪のつや」など、美容面での恩恵も多くエストロゲンによるものです。

主な働きをまとめると…

身体への働き:

  • 子宮内膜を厚くして妊娠の準備をする
  • 骨密度を維持する(エストロゲンが減ると骨粗しょう症リスクが上がる)
  • コラーゲン生成を促進し、肌のハリと弾力を保つ
  • 血管を柔軟に保ち、動脈硬化を防ぐ
  • 脂質代謝を整え、善玉コレステロールを増やす

心への働き:

  • セロトニン(幸せホルモン)の分泌を促進する
  • 気分を安定させ、前向きな感情を支える
  • 記憶力・集中力・認知機能を助ける

エストロゲンが十分に分泌されているときは、肌が輝き、気分が安定して「調子がいい」と感じやすい時期です。

エストロゲンが多いとき・少ないときの変化

多すぎるとき(エストロゲン優位): 生理前・更年期前期などに起きやすい。むくみ・乳房の張り・気分の波・体重増加などが現れることがあります。

少なすぎるとき: 更年期・過度なダイエット・強いストレスなどで起きやすい。肌の乾燥・骨密度の低下・気分の落ち込み・ホットフラッシュなどが現れます。


プロゲステロン——「守り育てる」ホルモン

プロゲステロンの基本的な働き

プロゲステロンは排卵後に分泌量が増え、妊娠に向けて子宮内膜を維持する役割を持ちます。妊娠しなかった場合は分泌が急減し、それが引き金となって月経が起こります。

身体への働き:

  • 子宮内膜を維持し、着床・妊娠を助ける
  • 体温を上げる(排卵後に基礎体温が上がるのはプロゲステロンの働き)
  • 水分を体に溜め込みやすくする(むくみの原因にもなる)
  • 腸の蠕動運動を抑制する(便秘になりやすい時期の原因)
  • 皮脂分泌を促進する(肌荒れしやすい時期の原因)

心への働き:

  • 鎮静作用があり、落ち着きをもたらす
  • 一方で過剰になると、眠気・倦怠感・気分の落ち込みを引き起こすことも
  • セロトニンの働きを妨げることがあり、PMSの気分症状と深く関連する

プロゲステロンが優位な生理前の時期(黄体期)に、肌荒れ・便秘・むくみ・気分の落ち込みが重なるのは、このホルモンの働きによるものです。「自分が弱いから」ではなく、ホルモンの仕業なのです。


月経周期の4つのフェーズ

女性の体は約28日(個人差あり)を1サイクルとして、ホルモンバランスが規則的に変化しています。このサイクルは大きく4つのフェーズに分けられます。

フェーズ① 月経期(1〜5日目ごろ)

子宮内膜が剥がれて排出される時期。エストロゲンもプロゲステロンも低い状態です。

体の状態: 下腹部痛・腰痛・倦怠感が出やすい。体が内側に向かう「冬」のような時期。 心の状態: ホルモンが低水準のため、内向きになりやすい。無理せず休むことが体の要求です。

フェーズ② 卵胞期(6〜13日目ごろ)

月経が終わりエストロゲンが上昇していく時期。

体の状態: エストロゲンの恩恵で肌のツヤが増し、体が軽くなる。新しいことへのエネルギーが湧く「春」のような時期。 心の状態: 気分が明るく、社交的・積極的になりやすい。集中力・記憶力も高まる。最もパフォーマンスが発揮しやすい時期。

フェーズ③ 排卵期(14日目ごろ)

エストロゲンがピークに達し、卵子が排卵される時期。

体の状態: 体力・体調ともに最も充実している「夏」のような時期。基礎体温が低温から高温に移行する。 心の状態: コミュニケーション力・共感力が高まり、外向きのエネルギーが最大になる。

フェーズ④ 黄体期(15〜28日目ごろ)

プロゲステロンが優位になる時期。月経前症候群(PMS)が現れやすいのもこの時期。

体の状態: むくみ・便秘・肌荒れ・乳房の張り・体重増加・眠気・食欲増加が起きやすい「秋〜冬」のような時期。 心の状態: イライラ・気分の落ち込み・不安感・集中力の低下が現れやすい。これはホルモンの変化によるものであり、「気のせい」ではありません。


ホルモンバランスを乱す現代の生活習慣

女性ホルモンのバランスは、生活習慣によって大きく左右されます。現代社会にありがちな以下の習慣が、ホルモンバランスを乱す主な原因となっています。

① 過度なダイエット・低体重 ホルモンを作る材料には脂質が必要です。極端な脂質制限や体重の低下は、エストロゲンの分泌を低下させます。「痩せているのに肌が荒れる・生理不順」という方は、栄養不足が原因のことも。

② 慢性的なストレス ストレスホルモン(コルチゾール)が慢性的に高い状態が続くと、女性ホルモンの合成が抑制されます。「ストレスで生理が乱れた」という経験がある方は多いはず。これも脳とホルモンの深いつながりの表れです。(メンタルケアシリーズで学んだストレスケアが、ここでも生きてきます🌿)

③ 睡眠不足 成長ホルモンや女性ホルモンは睡眠中に多く分泌されます。睡眠不足が続くと、ホルモン分泌のリズムが乱れ、月経周期にも影響が出やすくなります。

④ 腸内環境の乱れ エストロゲンは肝臓で代謝された後、腸内細菌によって再吸収・排出のバランスが調整されています。腸内環境が乱れると、エストロゲンの代謝がうまくいかず、ホルモンバランスに影響することが研究で示されています。(腸活シリーズで学んだことが、ホルモンケアにもつながっていますね🌱)

⑤ 環境ホルモン(内分泌かく乱物質) プラスチック製品・農薬・食品添加物などに含まれる「環境ホルモン」は、体内でホルモンに似た作用を及ぼし、ホルモンバランスを乱す可能性が指摘されています。できる範囲でオーガニック食品やガラス・ステンレス製品を選ぶことも、ホルモンケアのひとつです。


「知ること」が整えることの始まり

このシリーズを通じて一番お伝えしたいことは、「自分の体のリズムを知ること」の大切さです。

月経周期に合わせて体と心が変化するのは、女性として自然なことです。「あの時期は調子が悪くなる」と事前に知っておくだけで、無理をせず・自分を責めず・上手に波を乗り越えることができるようになります。

ホルモンは敵ではありません。体がちゃんと働いているサインです。その波を知り、寄り添うことが、サイクルケアの第一歩です🌸


まとめ

  • 女性ホルモンの主役は「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2種類
  • エストロゲンは肌・骨・気分・認知機能を支える「美と活力」のホルモン
  • プロゲステロンは妊娠を支える「守り育てる」ホルモン。黄体期の不調の多くはその影響
  • 月経周期は「月経期・卵胞期・排卵期・黄体期」の4フェーズで構成される
  • 過度なダイエット・ストレス・睡眠不足・腸内環境の乱れがホルモンバランスを崩す
  • 自分のサイクルと体の変化を「知ること」が、整えることの始まり

次回→【巡る、整える②】月経前がつらいのはなぜ?PMSを科学的に理解してケアする

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